世話人との対話 その2

②日本理学療法推論学会世話人との対話 金田編

1. イントロダクション  

   堀と金田が、理学療法推論学会の概要や目的について対話。学会の趣旨を伝える

2. 学会の目的と内容  

   - 推論とは「理学療法士が行う理学療法を規定するための思考プロセス」。  

   - 学会では、症例報告における「統合と解釈」を中心とし、評価と手技(治療手技)をつなぐプロセスを大事にしている。  

   - 若手理学療法士(特に25歳前後)が直面する「アセスメントの困難」を解決することが重要なミッション。  

3. 学会の特徴  

   - 臨床家が主体で、臨床家のために開催される学会。  

   - 既存の学会がエビデンス重視であるのに対し、推論学会は「思考方法」に焦点を当てている。  

   - 対面で議論を深めるライブ感を重視。オンライン配信は行わず、直接的な体験と変化を提供する場を目指している。

4. 発表形式と進行方法  

   - 一般演題は「口述発表」と「ポスター発表」の二段構え。  

   - 口述発表後、ポスターの前で1時間議論を行うことで、発表内容をより良くする場を提供。  

   - 分からないことを隠さず、堂々と質問できる雰囲気づくりを重視。  

5. 学会のビジョンと10年後の展望  

   - 理学療法士になろうと思った頃の「憧れの姿」を取り戻し、誇りと楽しさを感じられる職業へ。  

   - 理学療法の知的欲求を満たす思考プロセスを提供し、職業の価値を再認識させる。  

   - アセスメントの習得を通じて、理学療法士が自己成長を遂げる機会を作る。

6. 対象者とメッセージ  

   - 主な対象は、経験が数年程度の若手理学療法士(25歳前後)や教育・指導を担う中堅層(35歳前後)。  

   - 「学びたいが何を学べばいいかわからない」人たちを助けたい。  

   - 分からないことを正直に言える場を提供し、隠す必要がない安心感を作る。  

7. 締めのメッセージ  

   - 「理学療法は面白い」という思いを共有したい。  

   - 学術集会(大会ではなく集会)として議論や考え方の共有を続け、理学療法士の未来を創造する場とする。  

   - 世話人が紐解く具体的な推論の内容に引き続き注目してほしい。


対話

「はい、お疲れ様です。」

金田「お疲れ様です。今日はよろしくお願いいたします。」

「よろしくお願いいたします。音声は大丈夫ですか?」

金田「はい、僕は聞こえますよ。」

「はい、金田さんありがとうございます。すごい、でありがとうございます。
あの、喋りたくなったら、田さん(田代さん)も上がっていただいても結構ですので、
まずは金田君と2人で進める形でいきます。
今日は『理学療法推論学会』のいろいろな概要や狙いなどを、金田君から質問を受けながら、
僕が分かっていることを通して皆さんにお伝えしようという趣旨になっています。よろしくお願いします。」

金田「はい、わかりました。
じゃあ簡単に自己紹介でもしておきましょうか。」

「そうですね。
今回の学会の準備委員長をしている金田と言います…あ、すみません、これは金田君が自分で言った方がいいかな。」

金田「あ、僕ですね。えっと、今回の学会の準備委員長をしている金田です。皆さん、ご参加のほどよろしくお願いいたします。」

「はい。では、いろいろ質問をいただければ僕がお答えしていきます。よろしくお願いします。」

金田「よろしくお願いします。
早速なんですけど、改めてこの『理学療法推論』とは何か、堀先生に簡単に一言で言うとどういうことになるか教えていただけますか?」

「一言で言うと、理学療法士が行う理学療法を規定するための思考プロセスです。」

金田「なるほど。ただ、先生の専門が哲学で深く掘り下げているので、若い世代には分かりにくい部分もあるかなと思っているんです。
もう少し噛み砕いて、一言で言うならどうなりますか?」

「そうですね、より具体的な例を出した方が良いかもしれません。
イメージとしては、症例報告における『統合と解釈』の部分を、よりわかりやすく、確実にやっていこうということですね。
この学会では『統合と解釈』のプロセスを大事にしています。
ただ、一言でというのは難しいのですが、評価と手技(治療手技)をつなぐ思考プロセス、と言えば少しわかりやすくなるかもしれません。」

金田「なるほど、それで理解してくれる若い人も増えそうな気がします。ありがとうございます。
僕自身、平成生まれで比較的若い世代として、推論の名前は知っているけれど、中身がよくわからないという方は多いと思うんです。
今ので改めて確認ができてよかったです。
よりシンプルにいうと『カルテのアセスメント』みたいなもので、そこを書けずに困ってる人多いですよね?」

「そうです。評価と手技をつなぐプロセス、それを書き表すのがアセスメントであり、推論が目指しているところでもあります。」

金田「ありがとうございます。じゃあ次の質問です。
今回、この学術集会(学会)が他の学会や団体と異なる点、強みや弱み、差別化ポイントは何でしょうか?」

「まず、この推論と言われる部分を学問として突き詰めようとしている団体がほとんどないことが強みです。
多くの学会は研究やエビデンスに偏りがちですが、今回の世話人は僕と金田さん以外、全員臨床家なんです。つまり、臨床家が臨床家のためにやる学会、提供できるのは考え方、思考プロセスそのものです。
例えば、小中学校で学ぶ教科で言えば、技術や評価は理科・社会的な「知識暗記」ですが、推論は国語や数学的な「思考の方法」なんです。
弱みとしては、新しいアプローチなので理解が届きにくいところですね。」

金田「なるほど、確かに思考するための枠組みを提供するのはユニークですね。
存在意義、パーパスという点でいうと、特に若い25歳前後の理学療法士が困っている部分、
つまりアセスメントのやり方がわからない、そこを解決したいというミッションがあるわけですね?」

「その通りです。25歳前後の若い理学療法士が抱えている悩みを解決するのがファーストミッション。
それを指導・管理する側も悩んでいる。
そこを解決したい、アセスメントを中心に考え直そうというのが我々のミッションです。」

金田「それは参加しない手はないですね!
あと、この学術集会ではライブ感、対面で議論することを重視しているんですよね?」

「はい、オンデマンド配信はあえてしません。
ライブで議論し、経験を共有してこそ、自分の頭の中が変化すると思っています。
YouTubeで音楽を聴くのとライブに行くのの違いみたいなものですね。」

金田「コロナ禍でオンラインが普及しましたが、
理学療法はやはり対面が基本ですし、原点回帰でライブ開催は意義深いと思います。」

「そうですね。ライブハウスのような場所で懇親会もありますし、
少人数でもいいから、この場を経験し、考え方が変わるきっかけにしてほしいです。」

金田「10年後のビジョンとして、この学会が続いた先にどうなってほしいか、何かお考えはありますか?」

「理学療法士になろうと思った頃、憧れの姿があったはずなんです。
それを取り戻したい。
理学療法士という職業が、誇りをもって楽しいと思えるようになることが目標です。」

金田「面白いですね。アセスメントを身につけ、思考を深めることで、
なりたかった自分を取り戻す、そんな世界が目指せるわけですね。」

「そうです。人は考え理解することで快を得る生き物です。
理学療法推論を学ぶことは、自分の知的欲求を満たし、仕事を面白くすることにつながると思います。」

金田「具体的にどう勉強すればいいか分からない人も多いと思いますが?」

「構造やルールを知らないと勉強しにくいものです。
僕は臨床推論を10年以上教えてきたので、体系化(構造化)できます。
それを共有し、初手の一手を打てるようになってほしいんです。
熟達者たちも困ることがある、その過程も共有しますから。」

金田「発表形式もユニークで、一般演題は口述+ポスターでじっくり議論できるんですよね?」

「そうです。
発表後に1時間ポスター前で議論して、発表者の作品をみんなで良くしていこうという場です。
分からないことを隠すのではなく、堂々と質問できる場を作りたい。」

金田「25歳前後で悩んでいる人や、マネジメントや教育に携わっている人、
分からないけど前に進みたい人に来てほしいんですね。」

「そうです。
わからないことを隠すより、分からないから助けてと言える人、
そういう人に来てほしいです。」

金田「ありがとうございます。とても魅力的な集会だと思います。」

「はい、これから世話人たちとも、さらに具体的な推論を紐解く機会を作っていきます。
また情報発信しますので、興味を持ったらぜひ来てください。」

(田代、一言だけ)「パチパチ(拍手)ありがとうございます。」

金田「では、そろそろこの辺りで。」

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jspr0601

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